給排水設備は、人が飲料水として摂取する水を供給する設備であるため、正しい設置やメンテナンスをしない場合に、健康を害するなど衛生環境に大きな影響を及ぼす恐れがある重要な設備です。給排水設備の設置やメンテナンスの注意点をご説明します。
クロスコネクションの禁止
クロスコネクションとは、水道水を給水する「給水管」と水道以外の管(井戸水など)が直接連結されていることで、水道法で禁止されています。例え逆止弁を設置しても、直接連結してはいけないことになっています。
上水と雑用水のクロスコネクションによる事故例 | |||
場所 | 患者数 | 原因 | |
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1952年 | 大阪府 | 赤痢患者33 | 工場用水(浅井戸)とのクロスコネクションまたは浄化槽等による汚染 |
1969年 | 横浜市 | 赤痢患者83 | 誤って工業用水を給水 |
1977年 | 東京都豊島区 | 50世帯に重油混じりの水が流出 | 企業の井水管と水道管とのクロスコネクションにより、重油の流入した井戸水が給水栓から流出 |
1983年 | 東京都葛飾区 | 腹痛・下痢患者8 | 飲料水管と中水管との誤接合 |
表の事故例のように、クロスコネクションは人の健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるため、法律で禁止されているのです。
逆サイホン作用による逆流
逆サイホン作用とは、洗面器や流しなどの水受け容器中に吐き出された水が給水管内に生じた負圧による吸引作用により給水管内に逆流する現象です。逆サイホン作用により、汚染された水が給水管内に流れ込むと、人の健康に影響を及ぼす恐れがあります。
逆サイホン作用を防止するためには、適切な吐水口空間を設けることや、バキュームブレーカを設置するなどの防止策をとります。
ウォーターハンマーの防止
ウォーターハンマー(水撃作用)とは、水栓や弁などを急に閉じると、管内の水流が阻止され、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象です。弁の閉鎖や配管の充水時、ポンプの急停止といった急激な変化によって生じます。ウォーターハンマーが生じると配管など給水設備に振動や騒音が発生し、配管の破損や漏水の原因となります。要所に減圧弁を設けて圧力を下げたり、ウォーターハンマー防止器を設置したりするなどの防止策をとります。
二重トラップの禁止
二重トラップ(ダブルトラップ)とは、1個の器具の配管に直列に2個以上のトラップを接続することです。排水の流れの抵抗が増大し排水不良の原因となるため、禁止されています。施工ミスによるものが多く、トラップ桝を設置しているにも拘らず、途中でトラップをつけてしまうと二重トラップになってしまいます。その場合は途中のトラップを取除き、パイプで繋げて改善します。