韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。

Takeさんの韓国見聞録      2006.05.14発行  NO.45

<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>

Takeさん@韓国ソウルです。

清清しい風と緑が美しい5月です。皆さん、GWは楽しい思い出をたくさん作る事ができましたでしょうか?この時期は日本のGWが羨ましくていつも指をくわえながら仕事するのが常ですが、今年は5月31日が統一地方選挙なので暦の上では平日ですが、一般的な会社は選挙のために休みになるので今から何をしようかあれこれ考えている最中です。

■本日のサラリーマン日記 韓国映画「裸足のギボン」

韓国の5月は「家庭の月」とも呼ばれ、子供の日、父母の日、先生(師匠)の日が連続してあります。そんな5月に相応しい映画を観てきました。先月の終わりに自宅の近くにあるワールドカップ公園に子供と遊びに出かけたのですが、友人から映画のチケットが余っているので今から一緒に観に行こうと誘われてしまい、映画の題名もよくわからないままただ座っていれば何か出てくるだろうと思い映画館に入りました。終わってみると何とも言えない感動と余韻に浸ることができたとても良い映画でした。ストーリーはいつもの様に以下のサイトを参考にして下さい。

http://contents.innolife.net/listm.php?ac_id=7&ai_id=8466

後からわかった事ですがこれは実在の人物をモデルに製作された映画で、韓国KBSの「人生劇場」というドキュメンタリー番組でも紹介されたそうです。

映画の舞台は南海の美しい海が見える静かな田舎街。ソウルの喧騒した雰囲気とはあまりにもかけ離れた自然の美しい街が舞台です。青く澄んだ海をバックにギボンアジョシは今日も走り続けます。8歳の時に病気が原因で知能が止まってしまった障害者ギボンが80歳にもなる高齢の母親との二人暮らしを通じての親子の絆をテーマに描かれた映画です。

最初の頃はチョ・スンウの「マラソン」を真似ただけの映画ではないかと思っていましたが、観ている内にどんどん引き込まれてしまいました。また前半は大笑いの連続で単なるコメディ映画ではないか?との思いも沸いてきましたが、後半くらいから少しづつしんみりとさせられ、ラストシーンではなぜか嬉しくて涙が止まらない、、、そんな映画でした。小学二年の息子も私の隣で観ていたのですが、最後は小粒の涙を流していたのが印象的でした。

インターネットもパソコンもない片田舎で、今にも吹き飛ばされそうな家に住んでいるギボン親子。貧しい生活ですが彼らの顔からはその影ひとつ伺えません。1日1日に感謝しながら暮らす彼らはいつも明るい笑顔を浮かべています。このギボンアジョシの笑顔が実に印象的でもあり、新鮮に映ったのは私だけではないと思います。

私の会社のあるカンナム地域だけだと年間平均所得が4万ドルを越えると聞いたことがありますが、外的に見たら裕福に暮らしていても何か大切なモノを忘れてしまった今の韓国社会に対する警告のようにも思えました。とにかく今の韓国は70年代の日本のような学歴重視の社会。80年台のバブル期のような土地投機が盛んで、財産や名誉を重視する社会になってしまったように思えます。そんな中で人間にとって本当の幸せは何なのか?と考えさせられる映画であり、国や民族は異なっても親が子供を思う気持ち、子供が親を慕う気持ちは万国共通であるという事を再度、痛感させられました。

歯が抜け落ちて消化不良を起こしてしまう老婆に向い、「オンマ、イェップダ(綺麗だね)、、、」というギボンアジョシと、参加賞のメダルを優勝の金メダルと勘違いして「やはり私の息子が最高だぁ~!!」喜ぶ老婆の台詞にこの映画のすべてが込められているように思えます。例え障害や問題があったとしても親にしてみれば自分の子供はかけがえのない存在です。また、そんなギボンアジョシを応援する村人の姿に、今の韓国が忘れてしまった古き良き時代を思い起こして欲しいという事ではないでしょうか?

それにしても今でも思い出すと噴出しそうになるのが、ギボンアジョシのマラソンシーン。映画の中でも何回か出てきますが、必死に走るその姿は今も忘れられません。また南海の青く澄んだ海をバックにひた走る姿に、その昔に観た映画「風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)」で主人公が丘を歩くその姿を思い出してしまいました。

映画「マラソン」で障害者役を演じたチョ・スンウも記憶に新しいですが、今回のギボン役を演じたシン・ヒョンジュンはそれを上回っているように思えます。私の記憶が正しければシン・ヒョンジュンは「天国の階段」で二枚目の兄さん役を演じていたように思うのですが、その変貌ぶりは凄いの一言でした。

今の日本ではこの手の親子愛をテーマにした映画はどうでしょうか?韓国では母親と息子の絆が凄く強くて、マザコン(韓国ではママボイ)を大量生産しているのではないか、、、?と疑いたくなる時もありますが、とにかくこの国の親子の愛情の深さは半端ではありません。そのような背景があるのでこの手の映画も受け入れられる土壌が残っているのではないかと思います。

この映画のモデルとなった方の実名も「ギボン氏」なのかどうかはわかりませんが、人間として一番大切な基本(韓国語でギボン)を教えてくれた映画でした。

■編集後記

ここまで読んで下さり有難うございました。

最近、私の周囲でもゴルフを始める方が多くなってきました。今までは贅沢で一部の特権階級だけが楽しむイメージがありましたが、ここに来てだいぶ状況が変わって来たように思います。韓国女子ゴルファーの海外での活躍ぶりも影響しているようです。韓国人の適正を考えた場合に野球やサッカーなどの団体スポーツよりもゴルフやスケートなどの個人スポーツの方が向いているように思うのですが、皆さんはどう思われますか?

それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!

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