韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。

Takeさんの韓国見聞録      2006.12.17発行  NO.59

<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>

Takeさん@韓国ソウルです。

先日、大学時代の後輩から突然、電話が来ました。何とソウルで韓国語の勉強をしているとの事。もともと旅行好きで世界各国をフラフラしている事は知っていましたが、まさか韓国に来ているとは夢にも思いませんでした。

久しぶりに会ってみたら既に6ヶ月ほどソウルに住んでいるとの事。どんな生活をしているのかと思いきや、彼は考試院(コシウォン)をねぐらにして悠悠自適の生活をしていたのでした。彼曰く下宿や旅館も試してみたが、今の考試院が最高であるとの事。そんな訳で今回は韓国の考試院をレポート致します。

■本日のサラリーマン日記「考試院(コシウォン)は韓国社会の縮図」

韓国には考試院なるものが存在しますが、皆さんはご存知でしょうか?もしも知っているならあなたはもう立派な韓国通と言えるかもしれません。

考試院を紹介する前に、「考試」と呼ばれる韓国の国家公務員上級試験に関して知っておかなければいけません。考試には大きく分けて司法、行政、外務の三つがあり日本で言うと国家公務員一種(いわゆるキャリア組み)に該当するかと思います。

試験の難易度は極めて高いですが、国家の行政に携わる仕事でもあり、安定性もあることから、韓国でも根強い人気を保ち続けています。人気の秘密は単に給料や社会的安定だけではなく、考試の歴史的背景を知るとさらに納得できると思います。韓国には古くから中国の影響で「科挙試験」なるものが存在していました。韓国の科挙制度は高麗時代(918-1392)に初めて導入され、本格的に導入されたのは朝鮮時代(1392-1910)に入ってからと言われています。

韓国には両班(ヤンバン)という言葉があります。現在の韓国ではお金持ちや社会的地位のある人の代名詞のようになっていますが、もともとは官吏登用の国家試験「科挙」に合格した人を指す言葉だったのです。つまり朝鮮時代では科挙合格者を出すことが、将来の繁栄に直結する事だったので一族を挙げて応援していたらしいのです。その習慣が今の過剰なまでの受験戦争の根本的な原因とも言われていますし、考試試験も同様な事が言えると思います。

つまりこの考試院の由来は考試試験を受ける受験生たちが全国から集まって勉強する事から始まりました。今では大学在学中に勉強する方はもちろん、一度社会人になってから再度、考試試験に挑戦する人など実に多種多様な方々が集まっているわけです。

しかし、近年の考試院を取り巻く環境はだいぶ変化してきたようです。前置きが少し長くなりましたが、考試院とはどんな所か説明することにしましょう。まず部屋の大きさは2畳から3畳くらい、最近は少し広くて4畳程の所もあるようです。台所とトイレ、シャワー室はすべて共同です。もちろん男女は厳格に区別されていて、普通は2~3階が男子専用、4~5階が女子専用とういう感じで分かれています。部屋には机・ベット・洋服ロッカーが基本的にあり、グレードによってはテレビ、冷蔵庫、冷暖房完備という所もあります。また、最近ではインターネット完備というのも増えているようです。基本的に自炊ができるので食費を節約できるのも考試院の魅力の一つです。

気になるお値段ですが、1ヶ月で20~30万ウォンくらいが相場で、カンナム辺りの高級クラスでも40万ウォン程です。逆にソウル大学近くの新林洞(シルリムドン)一帯では10万ウォンクラスの所もあります。地方からソウルに勉強に出てきて、とりあえず寝るだけの場合などはこれで十分というわけです。以下に考試院の比較サイトをいくつか紹介しておきます。ハングルですが雰囲気や価格帯は何となくわかると思います。

http://www.gosi1.net/

http://www.gosione.net/

一昔前までは考試院というと男臭くて、不潔なイメージがありましたが、最近は若い女の子にも人気があるようです。また、ビジネスマンが長期出張時に使ったり、外国人旅行者にも密かな人気があるようです。とにかく敷金や保証金が必要無いので不動産屋にお願いしなくても、気軽に泊まれるのは魅力的でしょう。基本的に一ヶ月毎に清算しますが、長期(6ヶ月から1年くらい)の滞在でも問題ありません。

そのような便利さがあるので、この考試院には勉強目的ではない色々な事情を抱えた方々が泊まっているのも事実です。以前のメルマガで私のお世話になった上司が事業に失敗して借金取りに追われている事を書きましたが、その方も実は考試院に隠れて再起を狙っているのです。また、男女関係が縺れて身を隠したい場合に良く利用されるのもこの考試院です。

ホテルと異なり最低限の韓国語は必要かと思いますが、私も後輩もそれほど不便な事は無いと言っていました。モーテルやラブホテルよりは健全で過ごし易いと言う事です。まあ、女性の方にはあまりお勧めできないかもしれませんが、勇気のある方は一度挑戦されてみては如何でしょうか?

■編集後記

ここまで読んで下さり有難うございました。

このメルマガを書き終えて窓の外を見たら、真っ白に覆われていました。ソウルは初雪ではないですが、こんなに真っ白に積もったのは今年、初めてではないでしょうか?明日は日曜日なので子供の喜ぶ顔が見れそうです。久しぶりに雪だるまでも作ってみようと思います。本日、会社の同僚はソラク山に行きましたが、私も無理をして同行していればと少し後悔しています。

それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!