韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。

Takeさんの韓国見聞録      2008.01.06発行  NO.75

<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>

Takeさん@韓国ソウルです。

少し遅れましたが、明けましておめでとうございます。

2008年が新しくスタートして、決意も新たにしている方も大勢いるかと思います。お蔭様で私は15年ぶりに日本のお正月を堪能する事ができました。お節料理や腰のあるお餅で作るお雑煮は、やはり日本の味だと痛感しています。また、ソウルではこの時期は零下の世界ですが、私の住んでいる木更津は本当に暖かくて、別世界のようです。正月気分もそろそろ抜ける頃ですが、今年もお互いに頑張って行きましょう!!

■本日のサラリーマン日記「蔘鷄湯の思い出」

日本でしばらく生活していると、食べたくなるのが韓国料理です。毎日、当たり前のように食べてきたキムチは、韓国に居た頃は水や空気のようにあったわけですが、日本では美味いキムチを食べる事が、どれほど難しいのか身に染みて感じている今日この頃です。

実は今回、クリスマスを前後にして4日ほどソウルに行って来ました。キムチはもちろんの事、久しぶりに美味い蔘鷄湯が食べたくなり、数年ぶりに馴染みのお店にも行って来ました。

ウィキペディアで「蔘鷄湯」を検索すると、以下のように紹介されています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%B2%E3%82%BF%E3%83%B3

面白いのは土用の丑の日におけるウナギと同じように、三伏の日に食べると健康に良いとされている点です。三伏とは陰陽五行説に基づく選日の一つで、初伏(しょふく)中伏(ちゅうふく)末伏(まっぷく)の総称と言う事ですが、韓国に居た頃は真夏の炎天下の中を、混在しているのは承知の上で、蔘鷄湯を食べに行ったものでした。

この三伏にはポシンタン(犬の肉)を食べるのが、本来の伝統であったようですが、88年のオリンピックを前後して、国際的な批判を避けるために蔘鷄湯をよく食べるようになったとも聞いています。

この料理は朝鮮人参が入る事からも、韓国の代表的な料理である事は間違いないと思います。その為にソウルの街を歩いていても、蔘鷄湯屋さんは無数にあるわけですが、美味しいお店はどこにでもあるかというと、世の中はそんなに甘くありません。

初めて蔘鷄湯を食べる方は比較のしようがないと思いますが、何十年も暮らしていると、どうせ同じお金と時間を使って蔘鷄湯を食べるならば、少しでも美味いお店に入りたいと思うのが人情だと思います。

私がイチオシのお店はやはり「土俗村(トソッチョン)」です。ソウルの景福宮の近くにあるので、既に足を運ばれた方も大勢いると思うし、土俗村で検索すれば沢山の情報が溢れているので、この場で詳しく説明する必要もないと思います。

私が始めてこのお店に行った頃は、それほど有名でもなかったのですが、盧武鉉大統領が大の蔘鷄湯好きで、たまにこのお店の蔘鷄湯を注文する事から、ソウル市民の間でも有名になったと聞いています。今回は昼食時をあえて外して行ったのが幸いして、直ぐに座れたのですが、平日でも待たされるのは普通です。

このお店の味の秘訣は食材を厳選している事です。韓国産の食材しか使わない頑固な姿勢を守っていて、特に蔘鷄湯の味を決める鶏肉に関しては、自然飼料で育てた若鶏を使っている事でしょう。食べてみるとわかりますが、身のひきしまり度が、その辺の二流、三流の蔘鷄湯とは一線をひいています。昔とまったく変わらない味に改めて感動すると共に、日本で頻発した偽装事件のような事は起こさないで、いつまでもこの味を守って欲しいと思いました。

私はこの土俗村周辺から景福宮の壁際を歩く道がとても好きで、秋の紅葉シーズンにはたまに散策したものでした。今回、来て見たら光化門の改修工事が行われていて、これが完成したらまたソウルの雰囲気も変わるのだろうと思います。

この近くに観光で来るほとんどの日本人が、景福宮に目を奪われてしまうと思いますが、景福宮の目の前には、日本の霞ヶ関ビルに相当する政府の合同庁舎がある事をご存知でしょうか?土俗村は昼食時になるとサラリーマン風の人が大勢、待っている姿を見る事ができますが、その中には政府関係のお役人さんも大勢いるわけです。

実は私も会社の仕事の関係で、この合同庁舎に何度か足を運んだ事があるのですが、私が日本人という事もあり、韓国で一番美味しい蔘鷄湯を食べに行きましょう!!という事で、案内されたのが土俗村との最初の出会いでした。

合同庁舎の中では仕事絡みの話もあり、険悪な仲になってしまった時もありましたが、土俗村では面倒な話はお互いに忘れて、色々な雑談をした事が懐かしく思い出されます。日本のバブル経済や竹島問題、靖国問題など、話した内容は忘れてしまいましたが、土俗村の店長さんも巻き込んで結構、盛り上がったものでした。

話は少しそれますが、今回の大統領選挙では大方の予想どうり、李明博氏が当選しました。その大きな理由に韓国の深刻な経済問題があると思います。特に大卒における非正社員の格差は深刻で、初任給の平均が88万ウォン(約10万円)程度と言われています。一部の大企業の新入社員の初任給が日本並である事を考えると、日本以上の格差がある事がわかります。

李明博氏が当選した事により、韓国を管理する国政の核心勢力の世代交代が行われると言われています。それは386世代(30代 1980年代に大学生で60年代に誕生)から、475世代(40代 1970年代に大学生で50年代に誕生)に移行すると言う事です。盧武鉉大統領を支持する386世代は、若い頃に学生運動に入れ込んだ世代で、リベラル色が強いのが特徴であるのに対し、李明博氏のブレーンは実用専門家の色彩が強く現れています。若者の就職難を初めとした経済問題が緊急課題であるため、理念やイデオロギーよりも食べる事を解決してくれる大統領が選ばれたというわけです。

今になって思い出してみると、私がお世話になった合同庁舎のお役人さんも、386世代が多かった事がわかります。韓国の公務員というとかなり封建的でお堅いイメージがありますが、私が接していた方々は、事務方で比較的に若い方が多かったので、そのような印象はまったくありませんでした。ただ、彼らはこの国のエリートである事は間違いなく、子供の頃から受験戦争に勝ち抜いてきた面々なのでしょう。

彼らは国家公務員なので、今回の大統領選挙で10年ぶりに政権交代が実現したこともあり、大々的な人事異動が行われると思われます。私の知っている方は、今はどこで何をしているのか知るよしもありませんが、久しぶりに土俗村の蔘鷄湯を堪能し、師走の合同庁舎を見ながら、これからの韓国の将来をふと考えてしまった一時でした。

これからソウルは1年の中で最高に寒くなる時期ですが、そんな時に熱々の蔘鷄湯を食べるのも風情があって良いかもしれません。土俗村への行き方に関しては、以下のサイトが詳しいので参考にして下さい。

http://www.konest.com/data/gourmet_mise_detail.html?no=1438

■編集後記

ここまで読んで下さり有難うございました。

今回は食べ物と政治の話がチャンポンになってしまいましたが、如何だったでしょうか?386世代などの俗語は韓国社会でよく使われます。最初はパソコンの仕様でも意味しているかと思いきや、そうではありませんでした。最近は韓国人の政治離れが進んでいると言われますが、日本に比べればまだまだ情熱的です。特に男性は政治の話ができないと相手にされません。

久しぶりに韓国に行って来て、面白い話を聞いてきました。以前にもメルマガで紹介したBBQチキンというチェーン店の売り上げが、急増したというのです。理由は李明博氏の金銭スキャンダルが「BBK事件」という名目で、毎日のようにマスコミで報道され、それを聞いた国民がBBQチキンを連想して食べたくなったというものです(笑)

李明博氏の経済やお金に関するセンスは、私も一目置いているのですが、昔の田中角栄氏のようにお金で足元をすくわれなければいいのですがね、、、

それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!

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