韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。

Takeさんの韓国見聞録      2007.02.04発行  NO.62

<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>

Takeさん@韓国ソウルです。

ここ数日、ソウルでは寒い日が続きました。それでも例年に比べたら本当に暖かくて、この冬は漢江(ハンガン)が一度も凍っていません。地球の温暖化が一段と深刻化しているとのTVニュースが流れていましたが、本当に心配ですね。暖かいのでオンドル代が節約できて助かるのですが、そんな流暢な事は言っていられない状態なのだと思います。中国でも干ばつが酷くて、今年の3月、4月は至上最悪の黄砂がやってくるのではないか?と噂されています。この時期に韓国に来る事を予定している方は注意した方が良いかもしれません。

■本日のサラリーマン日記「ソウルの地下鉄は庶民の味方」

二極化が急速に進む韓国社会で、地下鉄はまさしく庶民の味方と言えるでしょう。初めて乗る外国人にも路線の色と駅の番号さえ覚えていれば目的地にたどり着くことができるので、わかりやすくて便利な乗り物だと思われます。私が始めて韓国に来た頃は青色の4号線までしか無かったのですが、いつの間にか本当に多くの路線が増えたものです。時代の流れに従って少しづつですが地下鉄内の雰囲気も変わって来た様な気がします。今回はそんな地下鉄内の風景をレポートします。

韓国の地下鉄に一度でも乗った事のある方はわかると思いますが、あの活気と何とも言えない香り(匂い)に圧倒された方も多いのではないでしょうか?賑やかな原因の一つは携帯電話。車内での通話は原則的に控えるようにと警告は流れていますが、そんなのはまったく他人事の用にワイワイやっています。

初めての方はかなりの不快感を覚える方も多いと思いますが、自由に話せるのは実は便利な事なのです。たまに東京に出張に行った時など、地下鉄の車内で普通に話をしていたら、周囲からの白い視線を強烈に感じた時がありました。確かにマナーは大切なのですが、こちらでの生活に慣れてしまうと少し窮屈である事は否めません。

そしてソウルの地下鉄では色々なタイプの人がやって来るので刺激的です。キリスト教系の伝道師、カンパ、物乞いなど実に様々な人が出入りするのですが、その中でも凄いのはやはり物売りセールスではないでしょうか?一度でも目撃した方は説明しなくてもわかると思いますが、突然現れては車の付いた旅行カバンの中から得意の商品を出して商売を始めてしまうというものです。

ソウルの地下鉄の隠れた名物とか言うと、韓国人の方から叱られてしまいそうですが、日本人の我々から見ると度肝を抜かれる迫力です。私はこのワイルドな商売の仕方に何とも言えない韓国らしさのようなものを感じてしまいます。

http://takatsuki-kojo.com/guruguru/index.php?e=88

とは言うものの私も韓国に来て、初めてあの光景を見た時は目を丸くしてしまいました。思わずガクガクブルブルして目線でも合ったら何か売りつけられるのではないかと怖がっていた頃が懐かしいです。ただ、何度も遭遇しているうちに免疫ができてしまったのか、そのうち今日はどんなアイテムを持ってきてくれるのだろうか?と楽しみにしている自分を発見したものでした。扇風機のカバーや特殊固形石鹸、コヒー豆の香り袋などは私も何度か買ったことがありますがとても重宝しました。よく観察しているとそれぞれ規則的なパターンがある事がわかります。まずは1分くらいの商品説明があり、市場では○○ウォンですが今日は特別に1000ウォンですという文句で締めくくります。特にマニュアルとかがあるわけでも無い思いますが、大体同じ様なパターンで商売は終了し、値段は1000ウォンと決まっているのが定石です。最初の一声で如何に注目を集めるかがポイントなので、最近ではかなり派手なパフォーマンスも登場してきました。

日本であれをやったら、それこそTVドラマの電車男の一場面のように直ぐに係員に取り押さえられてしまうでしょう。また、係員こそ来ないものの周囲の白い視線を意識してしまってとても商売どころではないと思われます。

韓国では地下鉄だけではなくて、例えば高速道路とかで渋滞していると何処からともなくお菓子やジュースを売る物売りが現れて来ます。危険極まりない行為であり、日本だったら直ぐに警察に通報されて捕まるのが落ちだと思うのですが、韓国ではこのようにモッコサルギ(食べて生活する事)のために苦労している人にはなぜか寛容な所があります。警察も諦めているのか、見てみないふりをしているかのようです。他人のしている事にはあまり干渉したがらない無関心な国民性と言えばそれまでですが、特に注意したり不快な顔をする人がほとんど居ないことも私には驚きでした。

ここで我々のような日本人がこの国で生きていく上で参考にすべきポイントがあるような気がしてなりません。日本ではとかく社会制度や法律を厳守する事に重点を置くようなところがありますが、韓国ではその尺度が少し違うという事です。単に道徳心の成熟していない発展途上国だからではないのか?と一言で片付けてしまう方もいるかと思いますが、実際に生活してみるとそれだけではない事に気が付きます。

例えば最近は少なくなりつつありますが、地下鉄やバスの中でお年寄りに席を譲ったり、荷物を持ってあげる場面などは実に新鮮に映ったりするわけです。日本では地下鉄とかの優先席は車内が結構、混雑していても空いている場合がよくあったりしますが、韓国ではそのような事はありません。しかし、お年寄りが来ると優先席だろうが一般席だろうがササッと譲ってしまうのです。

逆に日本の場合は一般席の前にお年寄りが来ても譲ろうとしないというパターンが見られますが、この辺の社会的規範というか考え方の違いはとても興味深いし参考になる事があります。

また、地下鉄から降りようとした時にもドドド~と怒涛のように乗ってくる輩がいて気分を悪くする事もありますが、よく観察していると自分よりも年齢差が大きかったりお年寄りが降りるときは、そちらを優先する人が多いのです。

私が個人的に感じるのは日本人の法律を遵守する几帳面さと、韓国人の本姓で生きるような部分を足して二つに割ることができたら理想的だなぁ、、、と思う事があります。

話は少しそれますが、以前に日本のある中小企業の社長さんと地下鉄に乗る事があったのですが、その途中で例の物売りと遭遇した事がありました。さすがの社長さんもビックリしていましたが、その後で最近の若い子は頭デッカチが多いので、新入社員の研修であのような物売りを経験させてみたいような事を話していました。そして自分の若い頃は食べるために必死だったので、恥じも外聞も無く必死だった事を懐かしく話してくれました。

98年のIMF事態の頃に比べたら地下鉄での物売りはかなり減ってきたように思えますが、それでも未だに無くなる事はありません。流行の韓国ドラマや映画では韓国の表の顔しか見る事ができませんが、ソウルの地下鉄ではもう一つの顔を見ることもできると思います。ソウルに来られたらぜひ地下鉄を利用してみる事をお勧めします。

■編集後記

ここまで読んで下さり有難うございました。

書き忘れてしまいましたが、始めて韓国の地下鉄に乗る方は以下のサイトが参考になると思います。韓国では切符を買うときに行き先を指定してからお金を入れる場合とその逆があるので注意が必要です。

http://japanese.tour2korea.com/

この中でTマネーカードというのがありますが、何度も韓国に来られる方は一枚作っておくと便利でしょう。駅の構内やコンビにでも充填できて便利です。

http://japanese.tour2korea.com/

ここ数年は韓国の地下鉄も値上がりしてしまいましたが、それでも日本に比べたらかなり安いと思います。日本が世界標準から逸脱しているのかもしれませが、交通費が安いのは本当に助かりますよね。

それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!