韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。

Takeさんの韓国見聞録      2007.11.30発行  NO.73

<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>

Takeさん@韓国ソウルです。

日本に来て早くも一ヶ月程が経過しました。最近、楽しみの一つになったのがミスタードーナツのカフェオレです。韓国に居た頃はダンキンドーナッツのコーヒーが好きでよく飲んでいましたが、ミスドの味は私に合っている上、何杯でもお替り自由というのが実に感動的です。さらにカロリーゼロの砂糖が付いていたりして、その辺のサービスの深さではまだまだ日本に軍配が上がるなぁ、、、と今更ながら感じています。

■本日のサラリーマン日記「クレジットカードで見る日韓文化考」

前回のメルマガで紹介した携帯電話の話では、沢山の方から感想を頂きました。今回は携帯電話に並ぶ韓国人の必需品「クレジットカード(以下カード)」に関してお話したいと思います。

日本で生活を始めて気がつくのは、近所のスーパーや雑貨店などでカード未対応のお店が多い事です。その上、消費税があるので財布の中は小銭で一杯になり、韓国で生活して頃に比べると実に不便です。韓国ではお菓子やジュースなどの小額でもカードで決済できたので、財布の中は数枚のお札とカードだけあれば十分でした。

日本では買い物をしてレジでの計算を待っている時でも、カードを使う方よりも現金で決済する方が圧倒的に多いのです。私の住んでいる所が田舎だからなのか? と思ったら、都内でも同じような感じです。私がネットで調べたら両国でのカードの普及率は日本が8%、韓国が58%という事なので、その差はかなりある事がわかりました。これは単純にカード決済に関するインフラの問題ではなく、携帯電話と同じように、両国の国民性が実によく現れていると言えるのではないでしょうか?

実は韓国社会でカードが使われ始めたのは、ごく最近の事なのです。私が韓国に来た93年当時はカードを使っている人をあまり見かけなかったし、カードが使えるお店そのものがほとんどありませんでした。

カードが本格的に普及し始めたのは、97年のIMF通貨危機以降で、時の金大中政権が内需の促進を促すために、カードに関する規制を大幅に緩めて、国民がカードを使うことを奨励したためです。

それまで韓国でカード会社と言えば、老舗のBCカードくらいで一部のブルジョワ階級だけに限られていたましたが、98年くらいからカード顧客獲得大戦争に突入し、現在では無数のカードが出回っています。

今でもよく覚えていますが、当時の顧客獲得戦争は社会問題にもなるくらい過激なもので、有名百貨店、銀行、地下鉄の駅、果ては路上など至る所でカード会員の獲得キャンペーンが展開されました。私の家内も豪華な賞品と年会費無料の言葉に誘われて、何枚もカードを作って財布の中がパンパンになってしまったものです。

当時の審査基準は実にいい加減で、犬やネコにでもカードを発給しそうな勢いでしたが、私のような外国人には非常に冷たく、何度かお願いしましたが、私名義のカードを発行してくれる会社はありませんした。2002年の日韓ワールドカップが終わる頃になって、私の事をよく知っている取引先銀行の担当者が作ってくれた事を、今でもよく覚えています。

それまでは仕方なく私は、家内のカードをしばらく使っていました。日本ならこのような事は厳禁だと思いますが、韓国では本人確認などしないで、ミミズの這ったようなサインでもまったく問題にする事なく決済できます。この癖が抜けずに日本でこれをやってしまったところ、お店のお姉さんに注意されたので、今はしっかりと名前を書くことにしています。

話が少し横道にそれてしまいましたが、カードが韓国社会に普及し始めた時、私が思ったことは「韓国人にカードを持たせるのは危険だなぁ、、、」という事でした。

理性で自分の行動を制限してしまう日本人に対して、理性よりも感情が優先してしまうのが韓国人だからです。これが日本人に比べて、人情味に厚く良い面も沢山あるのは、私もよく知っているのですが、これも時と場合によっては短所になってしまうものです。欲しいものや食べたいモノがある時、手持ちの現金が無ければ諦めもつきますが、カードというのは実に恐ろしいモノです。

また、韓国では大勢で食事をした時でも割り勘を好まない習慣から、つい魔法のカードを使ってしまう場合が多いのです。現金よりもカードの方がおごられた方も、負担が少ないのがカードの怖いところではないでしょうか?日本なら割り勘が定着して当たり前なので、返って自分が会計役となり、自分のカードで決済をしておいて、後で友人から現金を貰った方が、キャッシュフローという観点から見ると、カードは心強い味方なのかもしれません。

また、これは考え過ぎかもしれませんが、私が思うに韓国人は朝鮮半島の地理的条件により、古来から多くの侵略を経験してきた騎馬民族です。日本のような農耕民族とは違い、計画を立てて実行する余裕はなく、その場の状況を打開するためならどんな手段でも使って生き延びてきた歴史があります。資金繰りに困ってしまった時に、カードに頼ってしまう事に対しても抵抗がないのかもしれません。

もちろんこのような状況は、どこの国でもあると思われますが、韓国ではその傾向が強いと言えるでしょう。その為にカード破産はもちろん、貸し倒れするカード会社も後を絶たず社会問題になっています。

本来、儒教の精神からカードは借金と同じで忌嫌われていた傾向もありましたが、今ではそのような風潮は無くなり、今この瞬間も沢山のカードが発行されているのが実情です。

最近、ロバートキヨサキの「金持ち父さん、貧乏父さん」を読んでみたのですが、日本も韓国と同じように、小さい頃から「お金」に関する教育がほとんどされていないので、日本も含めてこの手の教育や啓蒙は、本当に必要であると痛感しています。

■編集後記

ここまで読んで下さり有難うございました。

今回はお金に関するお話でしたが、如何だったでしょうか?お金と言えば、韓国でもとうとう10万ウォン札と5万ウォン札が登場する事が決まりました。

http://www.chosunonline.com/article/20071105000008

私が韓国でカードを使っていた理由は、小銭の発生とお札で財布がパンパンになる事を防止したかったからです。皆さんも韓国を旅行していて不便に感じた事は無かったでしょうか?この10万ウォン札の登場で、この問題はかなり改善されるでしょう。できれば私が韓国に居る間に発行して欲しかったですね。

ついでにお話しますが、韓国では現金と同様に、「スピョ(手票)」と呼ばれる銀行の小切手を持つ方が大勢います。実は日本に帰国した後に、カバンを整理していたら10万ウォンのスピョが2枚出てきました。日本では単なる紙切れ同様なので、次に韓国に行く時は必ず持参しないといけないな、、、と肝に銘じている次第であります。

それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!

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