韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。
Takeさんの韓国見聞録 2008.03.09発行 NO.77
<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>
Takeさん@韓国ソウルです。
2月は短くてメルマガも出せずに、気が付いたらアッという間に過ぎてしまいました。書きたい事は沢山あるのですが、まとまった時間が取れないのが、何とも悲しいです。週末は子供の宿題を見るだけで直ぐに終わってしまうのですが、最近は少しづつですが余裕を持てるようになりました。日本の桜を久しぶりに堪能できると今から楽しみにしているのですが、都内でお勧めの場所があれば教えて下さい。
■本日のサラリーマン日記「真冬の国立中央博物館で考える」
2月のソウルに出張で行って来ました。この時期は1年でも一番寒い時期なのですが、仕事なので仕方ありません。日本に帰国してからも相変わらず日韓ビジネスに関係しているので、どちらに暮らそうがやっている事は変わらないように思えます。ビジネスを通じての日韓交流というのが私にとっても大きなテーマなので、しばらくはこんな感じで過ぎて行くのでしょう。
仕事での海外出張はいつもギリギリのスケジュールで、市内観光なんてのはよほど運が良くないとできないのですが、今回、私と同行したS部長が韓国は生まれて初めてという事もあり、韓国企業側のN社長の粋な計らいで国立中央博物館の見学と言う事になりました。
国立中央博物館は2005年に新しくリニューアルした事は知っていましたが、恥ずかしながら一度も行っていなかった事に気が付きました。韓国に居た頃は目の前の道は数え切れない程走っていたのに、何とも恥ずかしい限りです。
私の息子は小学校の課外授業で既に何回も行っているのですが、その事はさすがにN社長には言えませんでした。このメルマガの読者さんの中には既に見学した方も大勢いるかと思いますが、まだの方はぜひ行かれる事をお勧めします。博物館の詳細は以下のサイトを参考にして下さい。
http://www.konest.com/data/spot_mise_detail.html?no=858
実はこの博物館は建設途中で資金難になり、工事が途中で中断していた経緯があります。その当時、私は近くの竜山区に住んでいたので、巨大な鉄骨の構造物がそのままになっていた事を今でもよく覚えているのですが、今ではこうして立派な博物館が完成して本当に良かったと思いました。
自尊心が人一倍強い韓民族にとって、自国の歴史を紹介する博物館は誰もが心待ちにしていたに違いありません。中に入ればわかると思いますが、それは豪華な宮殿かお城のようで、相当な資金が投入されている事がわかります。
今回、案内を買って出てくれたN社長は、実は大の歴史好きみたいで中に入ると凄い勢いで説明を始めました。私も横でボーとしているわけにはいかず、これも仕事と思い、負けじと同時通訳を始めました。そしたらさらにN社長の気合が入り、気が付いたら大勢の人だかりができてしまったのです。
子供からお年寄りまで沢山の方が、その社長さんの熱弁を聞く様になってしまいました。後で聞いた話ですが同行したS部長は、自分が日本人なので袋叩きにされるのではないかと心配していたというのです(笑)
日本人が韓国の歴史に興味を持ってくれるほど、韓国人にとって気分の良いことはありません。皆さん「そうだ!!そうだ!!」と韓国語で相槌を打っているのがわかりました。N社長の主張は日本と韓国はビジネスという観点から過去の歴史を見直さなければいけないというもので、私と相通じる世界を持っています。
特に興味深かったのが、三国時代に存在した「伽耶」という国に関してのお話です。韓国の歴史学者の間では、この伽耶の国に対する解釈が色々とあり、悩みの種になっているとの事でした。
N会長の説によると、3世紀から6世紀中頃にかけて朝鮮半島の中南部に存在した伽耶には、日本からの駐屯基地が存在し、日本人の武装勢力が存在した証拠があるとの事です。何故ならばこの伽耶には優秀な鉄器技術があり、これを自国に取り入れたかった日本の権力者がこれを守るために伽耶に兵士を送っていたというのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%BD%E8%80%B6
このような歴史観は日帝殖民地時代を正当化する危険があるという事で、長らく韓国では封印(無視)されてきたそうですが、遺跡などを発掘するとどうも本当の話である事が近年になりわかってきたそうです。当時の日本には鉄器技術はまだ無く、これを手にしたものが日本国内で絶対的な権力を手に入れる事ができた為に、伽耶を守るためにお互いに協力して戦ったというのです。
N会長に言わせると日本や韓国という国家の概念が成立する以前から、両国はこのようにお互いに利害関係が一致すれば手を組むし、そうでなければ戦うのが当然であり、お互いに喧嘩両成敗みたいなもので、日本はよく日韓の不幸な歴史という事で謝罪するが、長い目で見たらお互い様だというのです。
TVやマスコミだけ見ていると、韓国人は今でも根に持って過去の歴史に拘っていると思いがちですが、韓国でご年配の方、それも比較的エリート階級の方々は意外な程、日本に好意的な方も多いのではないか?というのが私の個人的な感想です。これは実際に韓国で生活してみないと理解できないかもしれません。
話は少しそれましたが、この博物館に来ると三国時代の頃は日本よりも朝鮮半島の方が文化が進んでいて、今でいうハイテクの宝庫であった事がわかります。そしてそれらのハイテクは当時の日本の権力者からみると、喉から手が出るくらい魅力的なものであり、多くの人を派遣して取り入れようとした事がわかります。
実は今回の商談では、N社長の持っている技術で日本にも工場を立ち上げたいという日本側からの熱心なアプローチによって実現しました。一昔前までは日本の技術を教えて欲しいという、韓国側の要求がその殆んどでしたが、時代の変化というか時の流れを感じている次第です。
昔はその国の優秀な技術や芸術を欲しいがために、時の権力者が戦争を仕掛けて、技術者を拉致してしまった経緯があるが、今の時代はお互いによく話ってビジネス関係を構築していけば良いのではないか?と言うのがN社長の主張です。
現代社会はグローバル化が進み、日本とか韓国とかいう概念は過去のもので、利害が合えば手を組むし、そうでなければ決別するだけの事です。先月、新しく韓国の大統領に就任した李明博氏はそのような意味で、日韓関係をさらに新しいステージに引き上げてくれる人物かもしれないと感じさせてくれる部分があります。
金浦空港に向かうタクシーの中でそのような話をN社長としていたら、タクシーの運転手もそう思うという事で、お互いに話が盛り上がりました。横に座っていたS部長には何を話しているのかさっぱり理解できない様子でしたが、漢江の広さにただただ驚いていたというわけです。
■編集後記
ここまで読んで下さり有難うございました。
今回のメルマガで紹介した国立中央博物館は本当に豪華な建物でした。しかし、以前は景福宮の敷地内にあったために多くの外国人観光客で賑わっていたのですが、今の場所に引越しをしてからはパタッと少なくなってしまったようです。何とも勿体無い話だと思います。世界にはその国ごとに有名な博物館がありますが、韓国のそれは何か特別な気がします。日本と韓国は太古の昔から繋がっていた事がよく理解できるからです。次回は出張ではなくもっと時間をかけて見学したいと思いました。それと、毎月第4週目の土曜日は入場無料なのでお勧めです。我々が行った時も無料でしたが、同行したS部長はいつも無料であると錯覚して、韓国人は何と太っ腹なのだろうと感激していました(笑)
それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!
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