韓国在住14年、Takeさんの韓国情報ブログのバックナンバーです。

Takeさんの韓国見聞録      2008.12.21発行  NO.80

<古くからの友人、韓国をよく理解するための日本人サラリーマン日記>

Takeさん@韓国ソウルです。

忘れた頃にやってくる「Takeさんの韓国見聞録」です。韓国に出張する度に美味しいお店でご馳走になるので、ここでも紹介したいと思いながら、毎日の忙しさに流されている次第です。気がついてみれば今年もあと数日を残すのみになってしまいました。激動の2008年はこのまま無事に終わるか?と思いたくなりますが、私には今の現状は何か新しい時代の生みの苦しみのような気がしてなりません。何だか経済評論家のような切り口で始まりましたが、今回も少しだけお付き合い下さい。

■本日のサラリーマン日記「もしも韓国に篤姫がいたなら」

先日、長年の友人でる韓国人K氏と数年ぶりに再会する事ができました。彼は某大手韓国メーカーの日本駐在員として、かれこれ7年近く日本に滞在しており、日本語はもちろん、日本人以上に日本の事をよく知っている人物です。

考えてみると日本で会うのは初めての事でした。久しぶりの再会に胸を弾ませながら、どんな事から話をしようかと考えていたら、開口一番、大河ドラマの「篤姫」の話から切り出してきました。

私も歴史は好きなのでこのドラマは毎週、欠かさずに見ていたので話は直ぐに盛り上がってしまいました。

久しぶりの再会を果たして思い出しましたが、彼は大の明治維新研究家でもあり、坂本竜馬や勝海舟に憧れて、その生家や活躍した舞台を実際に尋ねるのが趣味だったのです。

彼の主張はいつもの様に、あの時代に朝鮮半島に坂本竜馬や勝海舟などの人物が出てこなかった事が最大の不幸であり、当時の李氏朝鮮でも明治維新のような革命が成功していたら、近代の韓国と日本の関係もかなり変わったものになっていたであろうというのが持論です。

もちろん歴史にIF(もしも)という一文字はないのですが、K氏は李氏朝鮮の時代に舞い戻って、自分が坂本竜馬のような仕事をしてみたいというのが夢なのです。

実は韓国にもK氏のような坂本竜馬オタクは意外と多く、司馬遼太郎の歴史小説『竜馬がゆく』の影響だと思われます。誰もが英雄になって支配者になろうとする韓民族気質から見ると、自分は表舞台に立たないで脇役にわまるその姿が、とても新鮮で印象的と言う事なのかもしれません。

そんなK氏にとって「篤姫」という存在はまったくの無名の存在であったらしく、しかもそれが女性ときたので、かなりヒートUPした状態でありました。既に鹿児島や東京都内の篤姫ゆかりの地はほとんど行ってきたそうで、残るは大奥のあった皇居ですが、そこに行けないのが残念でならないと言っています。

私も恥ずかしながらこのドラマを見るまでは、篤姫という存在そのものも知らなかったわけです。明治維新がいわゆる「無血革命」として成功した事が、近代の日本と韓国の運命を大きく分ける結果になったとK氏は考えており、常に血で血を洗う祖国の歴史と、未だに同じ民族が分断させられている現状を思う時に、焦りと無念の思いが沸いてくると言います。その影の立役者としてこのような女性がいた事に非常に感銘した様子でした。

さらにK氏の話は続くわけですが、同じような激動の時代に飲み込まれた女性として、朝鮮王朝末期の国母「閔妃(ミンビ)」が挙げられます。彼女が当時の日本軍と一部の革命派に暗殺された話は有名ですが、K氏に言わせると自分の一族の存亡だけを考えた閔妃と、日本の将来を一番に考え、何の未練もなく大奥を解散させて、江戸城から去っていく篤姫の姿にとても感動したというわけです。

更に篤姫は死に際には今のお金で6万円程度の現金しか持参しておらず、最後まで大奥の女達の嫁ぎ先や、その面倒を見ながら死んでいったという篤姫が、もしも当時の朝鮮王朝末期に存在していたらと思いを馳せていました。

話は少しそれますが韓国KBSが日本の大河ドラマに倣って、歴史ドラマを制作しています。日本にもファンが多いかと思いますが、K氏に言わせると韓国にもNHK大河ドラマを放送すべきであると主張しています。K氏はKBSやMBCにも友人がいるようで、帰国して彼らに会うたびにこのようなお願いをしているそうです。

私の個人的意見では日本の大河ドラマが、韓国の放送局で放映されるにはもう少し時間が掛かるかと思いますが、決して夢ではないと思うので、ぜひそのような日が一日も早く来る事を願うばかりです。

K氏も日本で生活する前は、洗脳に近い反日教育を受けてきた世代なので、とりわけ明治維新を成功させた人物たちにかなりの偏見を持っていたようです。しかし、自分で事実を調べていくうちに、民族と国の存亡を賭けて命がけで犠牲になっていく生き様は、韓国も日本も同じ事であるという結論に到達したわけです。

最後にK氏はアメリカ主導のグローバリゼーションが大きな曲がり角に来た今、隣国の韓国や中国を含めて、もう一度、日本の行く道を考え直す時に来ているのではないか?と言っていました。韓国版-坂本龍馬を標榜するK氏が日韓外交の表舞台に出てくる日も近いのかもしれません(笑)

■編集後記

ここまで読んで下さり有難うございました。

今日で大河ドラマ「篤姫」が最終回を迎えてしました。これに合わせてメルマガを書くつもりは無かったのですが、何故か先週の土曜日にK氏に会いこのような流れになってしまいました。

始めて韓国に行った頃は今のように日本の番組など観れなかったので、大河ドラマの存在すらも忘れかけていましたが、今回の篤姫をきっかけにまた楽しみが増えた次第です。

実はこの篤姫にはまっている人間がもう一人いまして、それは他ならぬ私の息子であります。この手の歴史ドラマのセリフは、韓国ドラマも同様に理解する事が難しいのですが、どういうわけか面白いという事で毎週、楽しみにしています。ちなみにうちの家内にはまだまだ難しいようです。私も子供の頃に見た「黄金の日々」という大河ドラマを未だに覚えていますが、息子の記憶の中もこの篤姫が残ってくれたらと思います。

それでは皆さん、アンニョンヒケセヨ~!!

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