特定建築物における空気調和設備等の再点検について

厚生労働省より、特定建築物における空気調和設備等の再点検について通知がありましたので、その内容についてご紹介します。

これまで新型コロナウイルスの集団感染が確認された場所で共通するのは、①換気の悪い密閉空間、②多くの人が密集していた、③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場合であるとされています。

このうち①換気の悪い密閉空間については、ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、「換気が悪い空間」には当てはまらないと考えられることから、空気環境基準の確保を徹底することが、感染対策につながると思われます。

ビル管理法に基づく空気環境の調整に関する基準

1 浮遊粉じんの量 0.15mg/m3以下
2 一酸化炭素の含有率 10ppm以下
3 二酸化炭素の含有率 1000ppm以下
4 温度 17度以上28度以下
居室における温度を外気より低くする場合は、その差を著しくしないこと
5 相対湿度 40%以上70%以下
6 気流 0.5m/s以下
7 ホルムアルデヒドの量 0.1mg/m3以下

近年、特に二酸化炭素の含有率について、ビル管理法の空気環境基準を超過する特定建築物の報告が多くあり、特定建築物において、適切な換気量が確保されていないおそれがあります。(厚生労働省の通知の参考グラフでは、平成30年度、特定建築物の27.4%が二酸化炭素含有率について不適合)

二酸化炭素の含有率が基準以下であれば十分な換気がなされていると考えられ、基準を超過する場合には、人の密集度が高過ぎることや十分な換気がなされていないなど「換気の悪い密閉空間」になっていることが疑われます。

今回の通知は、新型コロナウイルス感染症対策として「換気の悪い密閉空間」を改善する換気の重要性が指摘される中で、特定建築物の空気調和設備等の再点検を行うよう、特定建築物維持管理権原者に対して周知するためのものです。

令和2年4月2日付け事務連絡(厚生労働省)「特定建築物における空気調和設備等の再点検について」(PDF)

特定建築物とは

特定建築物とは、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(略称:建築物衛生法、ビル管理法)に基づいて、維持管理の基準が定められている建築物です。

興行場、百貨店、集会場、図書館、遊技場、店舗、事務所など多数の者が利用する建築物のうち、延べ面積が3000平米以上の建築物が、特定建築物として規定されています。(学校は延べ面積が8000平米以上)

建築物衛生法では、特定建築物について、厚生労働大臣の免状を持つ「建築物環境衛生管理技術者」にその維持管理の監督させることや、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ・昆虫等の防除などの管理基準が定められています。日本全国で、約4万棟の特定建築物があります。

当社では、建築物環境衛生管理技術者による特定建築物の衛生管理業務も行なっておりますので、特定建築物での新型コロナウイルス感染症への対応に協力していきたいと思います。

当社ではビル管理法に基づいて、空気環境測定貯水槽清掃空調給排水管理特定建築物維持管理建築物清掃などのサービスをご提供しています。